エンディングノートは、家族への優しさ

皆さんは、エンディングノートを書いていますか?

経済産業省の調査では、エンディングノートの存在を63.5%が知っているのに、
実際に書いている人はたったの2.0%という結果でした。

エンディングノートは、もしものときに役立つもの。

何ごとも起きていない今だからこそ、
ぜひ少しずつ、本当に大切なページから書き始めてほしいと思います。

先日も78歳のKさんから、
エンディングノートの大切さを実感するエピソードを伺いました。

エピソードを教えてくださったKさんは、
早速エンディングノートを書き始めているそうです。

エンディングノートがもつ5つの役割

エンディングノートには大まかに5つの役割があります。

1 もしものときに備える・希望を伝える
2 死後の希望を伝える
3 人生を振り返る
4 家族や友人に想いを伝える
5 これからの人生を見据える

Kさんが教えてくれたエピソードは、
1番の「もしものときに備える・希望を伝える」に関するお話です。

人工呼吸器が外せないMさんのお話し

Kさんのご友人の旦那さま(Mさん)は、
既に半年以上人口呼吸器をつけ意識がない状態で入院されているそうです。

Mさんのご家族の負担は、経済的な負担だけでなく、
心身への負担は周囲が心配するほど。

Mさんは半年以上にわたって意識を回復されないわけですから、
Kさんや周囲のご友人からは、しばしば、
人工呼吸器を外すことができないのかという話が持ち上がるそうです。

ですが、ご存知のように、いちど装着した人工呼吸器は外せません。

人工呼吸器を外すことは殺人罪にあたるため、
ご家族の希望があったとしても、
病院も医師も実行できないのが現状です。

意識がないまま半年以上を過ごすことは、悪いことばかりではありません。
長い昏睡状態を経て家族を亡くされた方のなかには、
失うショックに対して心の準備をさせてくれたと解釈される方もいらっしゃいます。

人工呼吸器も、昏睡状態も、それ自体には善も悪もありません。

望まない状況をつくらないため、今すぐ取り組むべきことは?

私たちが考えたいことは、
望まない状態や、どうにもならない状況をつくらないためにできる準備です。

そうしたらそのような状態をつくらずに済むでしょうか。

そのための方法のひとつが、
エンディングノートを通じて、事前に本人の意志を家族に伝えておくことです。

いざというときの、もしものときの治療方針を明確にして
エンディングノートを書いて、それを家族に伝えていれば、

人工呼吸器を着けるかどうか、
家族がとっさの選択を迫られたときに「装着しない」という選択をすることができます。

人工呼吸器を装着しないということを
呼吸が止まることを受け入れることを意味しますから、
本人の意思がない限り、
そのことを家族が意思決定をするのは想像以上に難しいことです。

エンディングノートに自分の希望を書いて整理しておけば、
大切な家族に、そのような苦しい判断をさせる必要がなくなります。

そういった意味で、
エンディングノートを書くことは、家族への優しさの具体化です。

皆さんも、
何ごとも起きていない「今」のうちに、エンディングノートを書き始めてみてはいかがでしょうか。