自分史を書く手順・つくる手順
by jkobo ·
1.今までの出来事を整理する
年表作成から始めるべきか?
自分史を書く目的と、自分に合った自分史の表現方法が整理できたら、
いよいよ自分史づくりに取りかかります。
自分史をつくる最初の手順として年表作成を紹介する本もありますが、
あまりお勧めではありません。
年表作成は、自分史づくりの効率を悪くしますし、
あまり楽しい作業ともいえないからです。
年表作成は効率的でない
年表作成から始めることをお勧めしない理由のひとつ目は、
自分史づくりにとって効率的でないからです。
年表をつくろうとすると、生まれてから数十年間を
順番に整理していこうという気持ちが働きます。
また、その時々の出来事をもれなく正確に書き出したい気持ちにもかられます。
あまり重要な出来事がなかった時期にも
何かを書き加えないといけない感覚に捉われたり、
あやふやな記憶や確認したい事柄があると、
その都度、立ち止まって調べたり確認することになりがちです。
年表そのものの完成度に意識がむいてしまったり、
細部に目がいってしまうと、
自分史づくりがいつまでも前に進まないということになってしまいます。
年表づくりは楽しい作業でない
また年表作成は、あまり楽しい作業とはいえません。
長い人生のを順番に整理していくと、それなりに時間がかかりますし、
多少なりとも調べものや確認作業が必要となり、
膨大にかかる時間や労力は精神的な疲労にもつながります。
「いつになったら年表が完成するんだろう」
「これじゃあ自分史もいつ出来上がるかわらかない…」
という思いが湧き上がり、
開始早々に自分史づくりがトーンダウンということになりかねません。
わざわざ自分を苦しめるようなハードルを課す必要はありません。
楽しく始められて、楽しく終われることをめざしましょう。
例えば、自分史を書いてつくろうと思う方は、
書く作業を楽しめるかも考えてみてください。
もしあなたが書くことに苦手意識をもっているならば、
それ以外のスタイルで自分史をつくる方向を検討すべきです。
自分史づくりは何から始めるべきか
それでは、自分史づくりは何から始めるのが良いでしょうか。
お勧めは、楽しい作業からはじめることです。
ここではお勧めの方法として、
時間や労力のムダがなく、味わい深く楽しめる取組みをご紹介します。
自分史づくりは「10大イベント」の整理から
自分史づくりの手始めは、
人生の「10大イベントの整理」に取り組むことをお勧めします。
10大イベントの整理は、味わい深く楽しめる取組みで、
時間や労力をムダにすることもありません。
あなたは、
「自分の人生に影響与えた出来事を10個選んでください」
といわれたら、どのようなことを思い浮かべるでしょうか?
出会いや別れのエピソード、
それとも、成功体験や挫折や苦難の経験でしょうか。
ここで選ばれた10個の出来事は、
自分史を通じて誰かが
あなたの人生を理解するために重要な手がかりになります。
もし10個では足りないと感じるならば、
15個20個と挙げても構いませんが、
まずは10という枠の中で考えてみてください。
なぜなら、10という制約があることで、
それぞれの出来事があなたの人生にどの程度重要だったのか
優先順位を考えることにつながるからです。
出来事と感情をセットで扱う
人生の10大イベントが整理できたら、
それぞれの出来事が、あなたに与えた影響を整理していきます。
あなたがその出来事に直面したとき、
どのようなことを感じたのか?
そして、
どのように反応をしたのかを思い返します。
例えば、人生の10大イベントのひとつに
「大きな病気にかかり、九死に一生を得た」という出来事があったとします。
生死をさまよっていたときや、その直後の感情や反応は
人それぞれ異なります。
例えば、
「きっと病気になったのは、自分の後ろ向きな思考や、
人を恨んだり妬んだりする気持ちが原因だろう。」
「泣いても笑っても一生なら、
これを機会に物事の良い面をみて、
楽天的に生きていくことにしよう。」
という方もいるでしょうし、
「人生は一度しかないし、いつ死んでしまうかもわからない。」
「今までは、世間の目や社会的な立場を気にしてきたけど、
有名企業のエリートとして生きるのは卒業して、
自分が好きなことをやっていこう。」
と、
超有名企業を退職して大好きだった串揚げ屋さんをオープンした方もいらっしゃいます。
このように、
10大イベントに選んだ「出来事」と「感情や反応」を
セットで振り返ることによって、
自分史の内容は豊かになり、
あなた自身にとっても意義深いものになりますし、
自分史にふれてくれる人にとっても、
あなたの人生の変遷を理解しやいものとなっていきます。
《ワンポイントMEMO》
人生とは選択の連続であり、人生は「選択」でつくられる
ウィリアム・シェイクスピアは、人生とは選択の連続であると言いました。
Amazonをつくったジェフ・ベゾスは、
人生は「選択」でつくられると語っています。
改めて考えると、人生には「選択」しかないことに気がつきます。
例えば、
・横断歩道で信号が点滅したときに、進むか、立ち止まるか
・一息つける時間ができたときに、テレビをつけるか、本を開くか
・部屋が散らかっていると思ったときに、掃除をするか、そのまま放置するか
・パートナーの一言に腹が立ったときに、ぐっと堪えるか、感情をぶつけるか
一つひとつは些細な選択ですが、その選択には、すべて結果があります。
そして、その結果に応じてイベント(出来事)が起こり、
それに対する反応の結果、
また次のイベント(出来事)が現れます。
選択には人それぞれ癖があり、
この選択と結果の連続が、その人だけの人生をかたちづくっています。
あなたの人生に影響を与えた出来事トップ10ともなれば、
人生の分かれ道と思えるようなことや、
人生観を変えるような困難もあったかもしれませんし、
人生を好転させるような人との出会いがあったかもしれません。
それぞれの出来事をどのように捉えて、
どういった選択をしたかは、あなたの人生をわかりやすく表します。
しかも、人生の10大イベントを整理して選択の歴史を紐解くことは、
家族や友人にあなたの人生を伝えるために有効なだけでなく、
あなたが「あなたの人生」や「あなた自身」を再確認することにも役立ちます。
年表を補完的につくる
人生の10大イベントだけをもとにしても
充実した内容の自分史ができあがりますが、
この段階で年表をつくり、
それ以外の出来事を整理していくのも良い方法です。
十分に語りごたえのある出来事を
すでに整理していますので、
年表作成はあまり細部にこだわらず、
ざっくりと時間をかけずに作成するのがポイントです。
自分史の中心に据える10大イベントを補完するイメージでつくると良いでしょう。
人生曲線も紆余曲折がつかめて面白い
もうひとつ、味わい深い振り返りの方法として
人生曲線という方法を紹介します。
人生曲線とは、
生まれてから今までの紆余曲折をグラフのような曲線で描いたものです。
人生の紆余曲折をひと目で見わたすことができ、
ポイントとなるような出来事や
それに対する反応のパターンなども
客観的にとらえられるため、
自分の人生の全体像が理解できる優れモノです。
この取り組みだけでも
自分がどういう人間なのかを発見できる方は少なくありません。
取り組み方はとてもシンプルです。
まず、大きめの紙を1枚用意して、真ん中にまっすぐな横線を引いてください。
その線の左端が0歳で、右にいくほど年齢を重ね、一番右端が現在です。
横線は時間軸となりますので、
目安として、10年ごとなど目盛りを書き込んでおくと良いでしょう。
そして、横に一本引いた線の上が良い状態(プラス)の領域で、
下が良くない状態(マイナス)の領域となります。
紙が用意できたら、生まれた頃からの人生を振り返って、
自分の幸福度や充実度合いの移り変わりを曲線で描いていってください。
上にいくほど<喜びや満足感、幸福感や充実感>などが大きく、
下にいくほど<悲しみや辛さ、落胆や苦しみ>などが大きいということになります。
ゆっくりと思い出しながら曲線を描いたら、
そこにポイントとなる出来事や状況を書き加えます。
それらを書き終わったら、当時の気持ちも書き添えて完成です。
「もうだめだ!」「こんなに幸せで良いの?!」といった
心のつぶやきを追加していっても良いでしょう。
こうして人生曲線をつくってみると、
ポイントとなるような出来事や自分の反応のパターンが
客観的にとらえられるため、
今までの出来事の整理に役立つだけでなく、
あなたの気持ちがどんなときに上向いて、
どんなときに沈んでいくのかといった傾向がつかめます。
どのように反応するかは、
その人がもっている価値観に強く影響されますので、
これらの傾向を通じて、
あなたが大切にしている価値観が確認できることにもなるのです。
自分で傾向をつかみかねるときには、
できあがった人生曲線の用紙を他の人に見てもらうようにしてください。
きっと、あなたの感情パターンや価値観を言い当ててくれることでしょう。
人生曲線は、あまり時間をかけずに取り組むことができるので、
ご興味のある方はぜひ試していただくことをお勧めします。
その他、過去を効率よく思い出すための技術
ご参考までに、
効率よく過去の出来事を思い出すための技術をあと2つご紹介します。
いずれも脳の癖を活用した方法で、
ひとつめは、
- 過去を思い出すための「質問」活用法
もう一つは、
- 過去を思い出すための「モノ・コト」活用法
です。
過去を思い出すための「質問」活用法
過去を思い出すための質問活用法は、
「質問」が投げかけられると答えを探したくなる
という脳の性質を利用しています。
例えば、テレビでCMに入る前には、
「その場にいた全員が驚愕した、意外なあるものとは?!?!」
のように疑問形によってCM明けまで引っ張られることがあります。
これも、人の脳が質問されると答えを求めてしまう性質を利用しています。
誰かに質問を投げかけてもらう方法は脳を刺激し、
自分の記憶をよみがえらせて、
考えを整理するために、最も効率的な方法です。
ですが、皆さんのまわりに
記憶を引き出す質問が得意な人や
それにつきあってくれる人がいるとは限りませんので、
ひとりでも、この方法をつかえるように
自分史づくりのための「質問リスト」をご用意しました。
【参考記事】人生を振り返る 99の質問
これらの質問を見ながら考えると、
何もない状態ならば思い出さないような出来事がたくさん頭に浮かびます。
ぜひ質問のリストを活用してみてください。
過去を思い出すための「モノ・コト」活用法
もう一つは「モノ・コト」を活用した方法です。
具体的には、
過去の出来事を思い出すために、
・歴史年表
・アルバム(写真)やビデオ
などを使います。
テレビやラジオなどから昔の曲が聞こえたときに、
その当時の自分の状況が思い浮かんだり、
そのときに付き合っていた異性や、
生活の情景などが思い浮かぶことがありますが、
これは、人の脳には、
ある記憶に関連したものを同時に思い起こさせる性質があるからです。
歴史年表や古いアルバムなどを見返すと、
あなたは、
「あぁ、そういえばこの頃、こんなことがあったなぁ」
と当時の出来事を思い出すでしょう。
特に昔の写真は、自分史に取り込む方も多いでしょうから、
これらを見返しながら色々なことを思い出すというのは
とても効率的な方法といえるでしょう。
2.全体の構成を検討する
選んだ10大イベントに優先順位をつける
人生の10大イベントを選んだら、優先順位をつけていきます。
あなたの人生を語るうえで大切な出来事トップ10のなかで、
もっとも重要な出来事はどれでしょうか?
そして、その次に重要といえるものは?
このように、10大イベントのなかで優先順位をつけていきます。
この作業は頭の中で行っても構いませんが、
カードを使って検討すると順位がつけやすくなります。
付箋や名刺大の紙などにそれぞれの出来事につけたタイトルを書き込み
テーブルの上で
「あっちかな、こっちかな」と入れ替えながら順位を考えるのはお勧めの方法です。
このような手法もつかいながら、
まずは、自分にとっての順位を整理してみてください。
その上で、読む人・観る人の視点を取り入れていきます。
自分史で扱う出来事を検討するにあたっては、
読む人・観る人の視点から考えることも大切です。
あなたにとって重要な出来事でも、
それが他者にとって、一切興味を持てない場合があるからです。
仮に読む人・観る人がまったく共感できない内容ならば
その扱い方を慎重に判断した方が良いでしょう。
自分にとっての順位がつけ終わったら、
これらに対して、
「他人がみて興味深いもの、共感されるものはどれだろう?」
という観点の順位を加えていってください。
この順位は大まかなもので問題ありません。
例えば、◎/○/△やA/B/C/Dなど、3~4段階で順位をつければ十分です。
自分にとっての順位と、
読む人・観る人視点の順位がついたら、
それぞれの出来事をどのように扱うか検討します。
自分にとって重要であり、他者にとっても興味深そうな出来事は、
具体的に、丁寧に語るべきと考えられます。
では反対に、自分にとって重要でも
他者の興味や共感の対象にならなそうな出来事は
どのように扱うと良いでしょうか?
自分史で扱うべきでないということではありません。
あなたにとって重要なことを割愛する必要はありませんし、
あなたの人生を理解してもらう上では、
むしろ語る必要があることもありえます。
こういった出来事は、
端的に事実だけを語るのがお勧めです。
過度に思いが込められていない記述であれば、
表現する側と受け止める側に気持ちのすれ違いが生じず、
その内容は、
あなたの人生を理解するための情報として受け入れてもらえます。
このように、それぞれの出来事の扱いを、他者の視点を加えて考えることは、
自分史を自慢史や怨恨史、悲観史にしないためにも大切です。
誇らしいことや裏切られたこと、感じている悲しみなども
端的に事実だけを語るにとどめていくと、
それらの記述は読む人・観る人にとって
あなたへ理解を深めるための情報になるでしょう。
全体の設計図(構成)をつくる
自分史で扱う出来事と扱い方がイメージできたら、
全体の設計図をつくります。
自分史で扱う内容、いわばパーツといえる部分を、
どのように配置して全体を構成するかを考えることが設計図づくりです。
人生は人それぞれですから、構成も人それぞれ。
こうしなくてはいけないということはありません。
構成には様々なパターンがありますが、
代表的な例をあげますので参考にしてください。
- 生まれてから今までのことを、順を追って語っていく
- もっとも重要な場面から始め、次に前後のことを語っていく
- 現在の自分を語り、その後、過去を振り返っていく
- 書きたい場面(戦時中のこと、道を極めたことなど)を中心に語っていく
- 家系と両親について語ってから、人生を順番に振り返っていく
- エッセイ集のように独立した場面を、それぞれに語っていく
このように、
自分史は必ずしも時系列で語る必要はありませんし、
生まれてから今までのことを
一通り語らなくいといけないルールもありません。
家族や大切な方へのメッセージについては、
いろいろな出来事を語っている内容に織り込んでいく方法もありますし、
人生をたどる記述とは切り分けて、メッセージを独立して扱う方法もあります。
全体の構成、つまり自分史の設計図については、
だいたいのイメージができたら具体的な自分史づくりに進みましょう。
設計図づくりで思い悩みすぎるのは得策ではありません。
なぜなら、事前の設計図は大切ですが、
必ずといって良いほど、途中で計画は変更になるからです。
設計図づくりは大切。でも設計図は変更が前提。
そのような感覚で、こだわりすぎないように考えましょう。
感動する物語に共通する法則とは?
人生は人それぞれであり、自分史の構成も人それぞれ。
決まったルールもないといわれると、かえって困る人もいるかもしれません。
せっかくつくる自分史を良いものにする手がかりが欲しい人のために、
ここでは「感動する物語に共通する法則」を紹介します。
この法則は、
世界中で、人の心をつかんでいる物語に共通する法則で、
太古の昔から今現在まで、洋の東西も老若男女すらも問わず用いられています。
「そんな法則が本当にあるの?」といぶかしむ方には、
映画『スター・ウォーズ』で大成功を収めたジョージ・ルーカスも、
この法則を学び活用したと公言しているといえば信じてもらえるでしょうか。
あなたの自分史も、
この法則を活用すれば人を感動の渦にまきこむ物語りになるかもしれません。
それは大袈裟だとしても、
この法則を使った場合とそうでない場合では、
読み手・聴き手の惹きこまれ方に大きな差が生まれることは間違いありませんので
知っておくことに損はありません。
この価値ある法則は「英雄の旅(Hero's Journey)」モデル※といわれ、
米国の神話学者ジョセフ・キャンベル(Joseph Campbell)が発見しました。
ジョセフ・キャンベルは、
地球上あらゆる場所に存在する神話を数千年間分にわたって研究した結果、
世代を超えて語り継がれる神話に共通の法則があることを見出します。
※ジョセフ・キャンベルが発見した「英雄の旅(Hero's Journey)」モデルを
さらにクリストファー・ボグラーが応用した「神話の法則」もストーリーライティングの世界ではよく知られている
※また、これらのモデルを改変して自説のように展開している情報もしばしば見受けられる
感動する物語に共通する 12ステージ
この「英雄の旅(Hero's Journey)」モデルは、
簡単にいえば、物語の中にある紆余曲折の法則です。
ジョセフ・キャンベルが発見した紆余曲折の法則には、
大きく分けると3つの段階があります。
第1幕は、いつもの日常から主人公が旅立ちを決断する場面です。
第2幕では、主人公に試練が訪れ、克服し成長を遂げる。
第3幕では、事を成し遂げた主人公が、また穏やかな日常に戻ります。
みなさんご存知の桃太郎でいえば、
お爺さんお婆さんと暮らしていた桃太郎が鬼退治に出かけると決意する(第1幕)
恐ろしい鬼ヶ島で赤鬼・青鬼たちを倒して、たくましく成長した姿を示す(第2幕)
鬼たちが悪事を重ねて集めた金銀財宝を奪い返し、村に戻る(第3幕)
この3つの段階だけでも、物語りに抑揚を感じますが、
「英雄の旅(Hero's Journey)」モデルでは、
この3つの段階を、12のステージに細分化しています。
第一幕:いつもの日常と旅立ちの決断
ステージ1.日常の世界
ステージ2.旅のきっかけ・旅への導き
ステージ3.変化への拒絶、迷い、葛藤
ステージ4.助言者や賢者、師匠との出会い
ステージ5.境界線を越えて日常と決別
第二幕:試練の克服と成長
ステージ6.最初の試練、仲間・敵との出会い
ステージ7.最大の試練への接近
ステージ8.最大の試練との戦い
ステージ9.勝利と報酬
第三幕:穏やかな日常へ戻る
ステージ10.帰路
ステージ11.成長・復活
ステージ12.故郷へ戻る
少しわかりやすいように物語としてつなげてみるとこんな感じです。
主人公の日常生活が紹介され(ステージ1)、
あるきっかけによって、旅立ちに誘われる(ステージ2)。
旅立つ必要を感じながらも主人公は踏み切れず葛藤するが(ステージ3)、
ある人からの助言によって旅立つを決意をする(ステージ4)。
日常と決別して新しい世界で歩みを進める主人公に(ステージ5)、
最初の試練が訪れる。敵との対決に前後して、一緒に戦ってくれる仲間と出会う(ステージ6)。
新しい世界で更に歩みを進めていく主人公に(ステージ7)、
最大の試練が立ちはだかる(ステージ8)。
その試練に打ち勝った主人公(たち)は、報酬を手に入れる(ステージ9)。
日常の世界に戻ろうとすると(ステージ10)、
最後の関門があり、それをくぐり抜けた成長を確かなものにする(ステージ11)。
そして、旅によって得た恵みを元の故郷に持ち帰る(ステージ12)。
これの流れを見ながら、
あなたの好きな映画や小説が思い浮かんだ方もいるでしょうし、
ご自分の人生で、当てはまるシーンが浮かんできた方もいるのでないでしょうか?
この「英雄の旅(Hero's Journey)」モデルの影響ははかり知れません。
多くのハリウッド映画が、
このモデルに沿ってつくられているか、
なんらかの影響を受けて作られているといわれますし、
弊社で制作している自分史ムービーも、
このモデルを強く意識した構成となっています。
3.自分史づくりにとりかかる
大まかな設計図(構成)ができあがったら、
いよいよ具体的に自分史づくりにとりかかりましょう。
あなたがつくる自分史が、
文章で書くものであっても映像であっても、
共通して参考にしていただける内容はこれまで述べてきました。
ここでは最後に、
自分史を文章でつくりたい(書きたい)と思っている方と、
自分史を映像でつくりたい(撮りたい)と思っている方、
それぞれの方に向けて、ポイントをお伝えさせていただきます。
特に、修飾語の使い方と読点(、)の使い方は、
文章の伝わりやすさに大きく影響しますので、
この点をわかりやすく解説している本をご紹介します。
修飾語と読点については、
『日本語の作文技術』(本多勝一 著)という本に
非常にわかりやすい解説がまとめられています。
例えば、
修飾語の章では、
「止まらずにライトを消して速く走る。」
よりも、
「ライトを消して止まらずに速く走る。」
と、わかりやすい語順に入れ替える際のルールを解説しています。
句読点の章では、
「渡辺刑事は血まみれになって逃げ出した賊を追いかけた。」
「渡辺刑事は血まみれになって、逃げ出した賊を追いかけた。」
「渡辺刑事は、血まみれになって逃げ出した賊を追いかけた。」
などの例をひいて、きちんと伝わる表現のための読点(、)の打ち方を解説。
その他、すぐに使えて効果があがるテクニックが紹介されていますので、
ご興味のある方はご一読をお勧めします。
映像でつくる自分史のポイントは?
映像で自分史をつくる場合は、業者に依頼するのが一般的です。
数ある映像制作会社の中から、
あなたに合った1社を選びましょう。
それぞれの業者で、価格や品質、特色なども様々です。
制作会社を選ぶ際に、特に慎重に吟味してほしいことは、
オーバースペックでないか
あなたとの相性が良いか
という点です。
映像制作会社の多くは自分史制作を専業にしておらず、
普段は、映画やTV番組、CM制作などの仕事をしていますので、
使用機材もそれに応じたものを保有しています。
機材費や撮影クルーの人件費は、
あなたが支払う価格の大きな割合を占めるので、
最高品質のビデオカメラや大がかりな撮影クルーが
本当に必要なのかは検討しておいた方が良いでしょう。
あなたの自分史は、
映画館やテレビ番組で上映されるものではありません。
一般的な使用用途において
スペックが適切かどうかは大事なチェックポイントとなります。
オーバースペックは高価格の要因ですので
自分に必要な品質を吟味するようにしてください。
また、
映像でつくる自分史では、
カメラに向かってあなたが語っているシーンが
中心に据えられます。
業者の選定を誤ると、
慣れない状況に緊張しうまく話ができないということもありえます。
何世代にも渡って観てもらえる貴重な映像記録が
残念な仕上がりにならないため、
業者との相性の良さを確認するようにしてください。
映像制作会社と正式な契約を結ぶ前に、
面談を重ねるなどして、
あなたにインタビューをする相手が信頼できるかどうか、
あなたがリラックスして話せる雰囲気を
もっているかどうかなどを確かめることが大切です。
相性の良い相手と出会うことができれば、
あなたは存分に人生を語ることができますし、
和やかに楽しく自分史づくりが進行します。
出来上がりを観たご家族や友人たちも、
普段通りのあなたをいつも通りに受け止めて、
あなたが語る思いをしっかりと受け取ってくれるでしょう。