自分史づくりの心構え


自分史づくりを楽しむ

自分史づくりには「楽しむ姿勢」が不可欠

自分史をつくる心構えとして、一番大切にしたいことは、
「自分史をつくることを楽しむ」という姿勢です。

せっかく自分で「やりたい」と思って始めた自分史づくりなのに、
途中で悩んでしまい、自分史づくりを思い煩っている方は少なくありません。

そういった方に何に苦しんでいるのかを伺うと、
「書く」ことにつまづいていらっしゃることがほとんどです。

そして驚くことに、書くことにつまづいている方の多くは、
はじめから書くことに苦手意識があったり、不安を抱えていたと仰います。

書くことに苦手意識はあったけれど、
自分史をつくりたいという思いが強く、
書くことに挑戦することに決めたというわけです。

一概にはいえませんが「書く」というスタイルを選ばなければ、
自分史づくりをもっと楽しめたのではないでしょうか。

自分史をつくるにあたっては、

  • 楽しめるスタイルの自分史を選ぶ
  • 「苦手」や「イヤ」を感じたら別の手段を検討する

ということが大切なポイントになります。

チャレンジするのは素晴らしいことですが、
自分史をつくりはじめると、良いものにしたいという気持ちが強くなります。

そして、その思いと自分の書く力のギャップに悩みはじめます。

つくり始めてから、
自分史を「書く」ことを楽しめなくなる可能性があるならば、
書く以外のスタイルを選ばれることをお勧めします。

自分史は、力まずにつくる

自分史づくりを楽しむためには、

  • 完璧な仕上がりを目指さなくて良い
  • リラックスした方が、良いものが出来る

ということも意識しておきたいポイントです。

自分史をつくっていくと、
あたかも「自分史の出来が、あなたの人生の出来」のように
感じてしまうことがあります。

その結果、完璧な仕上がりを目指して
何度も修正を重ねるというようなことが起こります。

修正自体は悪いものではありませんが、
肩に力を入れて自分史をつくると、その力みは出来上がりに現れます。

読む人、観る人は、
自分史からにじみ出る「力み」を感じると疲れてしまい、
ともすると全編目を通してくれなくなるかもしれません。

幸いなことに、あなたが小説家や脚本家でないことは、
すべての人が知っています。

ですので、めざすべきは80点。

「今できる最善の仕上がりにさえなれば良い」

そんな心持ちで、力まず、リラックスして臨めば、
思考もスムーズになりますし、より良いアイデアも浮かびやい、
結果、良い自分史がつくれることになるでしょう。

未来のために自分史をつくる

自分史づくりを楽しむためにお勧めの心構えとしては、
自分史をつくることは人生の中間総括であり、
未来につながる取り組みと捉えることです。

自分史といえば
終活のひとつというイメージをお持ちの方も多いかもしれません。

たしかに人生の幕が降りることを意識するからこそ
語り継ぎたい想いが生まれる一面もあるでしょう。

ですが、
自分史づくりは、それなりに時間がかかる取組みで、
いわばマラソンのようなもの。

完走するには前向きなエネルギーが助けになります。

自分史をつくっていると、
未来につながる新たな発見がたくさんあるものです。
こういった発見を楽しみに取り組みを進めていきましょう。

実際のところ、自分史をつくっていく過程では、
未来につながる様々なことに気がつきます。

例えば、
人生に大きな影響を与えた判断(出来事)を、
まとめて振り返ったときに
自分がいつも大切にしていた価値観が発見されたり、

今までは自分にとって辛く悲しい思い出だった出来事が、
改めて振り返ってみると、
強くしなやかな心を獲得するための経験であり、
その強さのおかげで
今の自分の立場が築けたことに気がついたりします。

【参考記事】自分史をつくるメリットその2:客観的に自分を理解できる

こうした発見や気づきは、
未来に歩みを進める上での指針になったり、
人生に前向きなエネルギーを与えたりするものです。

自分史づくりを楽しむためにも、
この取組みが終い支度のためだけでなく、
未来の指針やエネルギーになると思って臨みましょう。

相手の存在を意識する

自分史と日記の違い

自分史づくりを楽しむことと同じくらい大切な心構えは、
「相手の存在を意識する」ことです。

自分史をつくっているときには、
読んでくれる人や観てくれる人の顔がみえず、
登場する人の顔もみえません。

こういった人たちの存在を忘れて、
うっかり配慮を欠かしてしまうと、
相手に気持ちのよくない思いをさせてしまうかもしれません。

自分史は日記と似た部分がありますが、
読む人、観る人の存在を意識するかという点で大きく異なります。

日記もある程度は人に読まれることを意識しますが、
あくまで見られてしまった場合を想定しているだけ。

剥き出しにした感情を書き残さないようにしたり、
都合の悪い事実を書かないことは、
問題を起こさないためのリスクヘッジにすぎません。

一方の自分史は、人に見られることが大前提です。

読む人・観る人がいるならば、
その人たちの気持ちに配慮するのが
コミュニケーションの自然なかたちです。

これは難しいことでも特別なことでもありません。

ふだんの会話で皆さんは
自然と相手に気を配ってお話しをしています。

例えばすごく嬉しい出来事があったとき、
家族にならば、率直に喜びを表現するでしょうし、
長い時間ゆっくりと具体的に出来事の説明をするかもしません。

これが趣味のサークルでの会話ならばどうでしょう。

あなたは、そこにいる人たちとの距離感を意識しながら、
話しているときの相手の表情や反応によって
自然に話し方を変えているのではないでしょうか。

自分史をつくるときは相手の顔が見えていませんが、
「相手がいる」ことを忘れないように気をつけましょう。

そうすれば、
自然に、あなたが伝えたいことを、
相手が受けとめやすいように表現できることでしょう。

読む人・観る人、登場する人の視点をもつ

それでは、具体的にどのような点に気をつけたら良いか確認していきましょう。

自分史をつくるにあたっては、
読む人・観る人と、登場する人の視点をもつことが大切です。

具体的には、

  • 読む人・観る人の興味関心を意識する
  • 登場する人の立場に配慮する

という2点がポイントとなります。

読む人・観る人の興味関心を意識する

あなたの自分史を読む人・観る人とは具体的にだれでしょうか?

真っ先に思い浮かぶのは、
あなたのパートナー(伴侶)とお子さまといった1親等にある方々でしょう。
そしてご兄弟や甥っこ姪っこでしょうか。
今はまだ小さいお孫さんも
数十年後にはきっとあなたの自分史をみることになるでしょう。

仲の良い友人や趣味のお仲間などはいかがでしょうか。

ご家族・ご友人に限らず幅広い人の目にふれるの方も
いらっしゃることでしょう。

あなたの自分史をみる方には、
あなたとの心理的距離が近い方もいますし、そうでもない方も含まれます。

普段のコミュニケーションでは、
皆さん意識をしなくても、
自分との関係性や心理的距離を感じながら、
話題や言い回しを選んでいるものですが、

自分史をつくるときには、
相手の顔が見えていないために
その感覚が希薄になってしまいがちです。

自分史をつくる上では、
相手の興味・関心を意識すると、良いものができあがります。

特に、以下のような点には注意するようにしてください。

  • 自慢しすぎない(自慢史にしない)
  • 恨み節を語らない(怨恨史にしない)
  • 悲観や反省に終始しない(悲観史にしない)

自慢史、怨恨史、悲観史は、
近親者にとっても良い気持ちがするものでありませんし、
あなたとの関係に距離がある人にとっては、
受け入れがたいものに映るかもしれません。

これらを楽しめない理由は、
鼻について嫌味に感じられるとか、
暗い気持ちになってしまうからだけではありません。

最大の要因は、同じような調子が続くことです。

太古の昔から人はドラマを好むようにできているのですが、
自慢史や悲観史は、
始めから終わりまで調子が変わらずドラマが感じられません。

ドラマとは紆余曲折、物語の起伏といえば良いでしょうか。

自分史に書かれる内容にも紆余曲折が求められます。

【参考記事】感動する物語に共通する法則とは?

たとえば、素晴らしい業績をあげた人の自伝などでも
多くの人に読み継がれているものには紆余曲折が記されています。

もしあなたの人生に、華々しい実績しかないならば、
あえて、苦労したことや努力したこと、
思い悩んだ経験などを詳しく語りましょう。
ちょっとした失敗を、面白おかしく語るのも良い方法です。

反対に、苦労の多い人生だったならば、
困難な状況のなかで何をよりどころに進んできたのかを加えたり、
あなたを支えてくれた人への感謝や日々の小さな喜びを
具体的に臨場感をこめて語りましょう。

そうして表現された起伏のある自分史に人は共感し、
読む人・観る人は、あなたが伝えたい大切なものを受け取ってくれるでしょう。

登場する人の立場に配慮する

あなたの自分史は、家族や友人だけでなく、
第三者や、まだ見ぬ未来の世代の目にもふれる可能性があるものです。

自分史に登場する人物の立場や心証、プライバシーなどには
十分に配慮するようにしてください。

あなたの自分史には様々な人が登場します。

良い影響を与えてくれた人や、
あなたを支えてくれた人もいれば、
苦難をもたらした人もいるでしょう。

相手を褒め称えたり、感謝を伝えるならば実名で問題ありません。

名前だけでなく、どこのどういった立場にある誰々さんと、
具体的に説明をする必要もあるかもしれません。

気をつけるべきは、
必ずしもポジティブと捉えられない登場人物です。

あなたをだました人や苦しめた人などはもちろんのこと、
自分の成長のきっかけを与えてくれた人、
例えば、あなたを叱責した職場の上司などの扱いには
十分な配慮が必要です。

あなたの知らないところで自分史の内容を知ったり、
本意と異なる受け止め方をする場合もありますので、
良からぬ事態を引き起こすような表現は避けておくのが賢明です。

名前も実名の方が物語としては臨場感が増して良いですが、
必要に応じてイニシャルを用いたり、
個人が特定できない表現で語るようにしてください。

大事なポイントは、
本人や本人に近しい人が見るということをきちんと想像することです。

その配慮さえできれば、
自分史の内容が原因で望まない事態が起きることはないでしょう。

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