あなたの戦争体験 聴かせてください

つい最近まで私たちは、
これほど戦争を意識していたでしょうか?

以前は「平和ボケ」なんていう言葉が
批判や冗談まじりで使われていましたが、
最近ではあまり耳にしなくなったような気もします。

多くの人が戦争の可能性を感じているけど、
「戦争は起きない」
と思いこもうとしているのではないでしょうか。

 

アンパンマンの作者 やなせたかしさんは、
自著のなかでこう語っています。

戦争を語る人がいなくなることで、
日本が戦争をしたという記憶が、だんだん忘れ去られようとしています。
人間は、過去を忘れてしまうと同じ失敗を繰り返す生き物です。

 

私は今41歳で戦争を知らない世代ですが、
子どもたちの将来を考えると不安がよぎります。

 

私は戦時中の話を母から聞きました。

低空を飛ぶ戦闘機に追いかけられて
走って逃げた話しや、
そのパイロットが銃弾を打ちながら笑っていた話しなど・・・

短い話ながら、
母の話は私に「現実としての戦争」を感じさせてくれました。

また、自分史ムービーの制作でお会いする方からも
戦争や軍隊のお話しを伺うことがありますが、
実際に体験したことのお話しには
心の深いところをゆさぶられます。

これから先、
私のような戦争を知らない世代が
子どもたちに戦争の話をするときはどうでしょう?

「戦争はよくない」と
筋みちを立てて話すことはできるかもしれませんが、
実体験をともなわない私たちの話は
説得力に欠けるように思います。

 

戦争体験をされている人の話は、
理屈とは別のところに強い説得力を持っています。

 

もちろん戦争をするべきでないという
理由も語ってくださいますが、

聞き手の私たちは、
経験を語る表情や声、しぐさなどから、
より強いメッセージを受けとっているようです。

 

言葉を越えたところに力強さがあって、
戦争体験がない私たちや子ども世代も、
理屈を超えたところで
「戦争はよくない」と感じられるのだと思いますが、

こういった貴重な戦争体験を語ることができる人は、
1日1日少なくなっています。

「人口推計」(総務省統計局 http://www.stat.go.jp)を加工して作成

たとえば、
先ほどのやなせたかしさんは1919年生まれで、
戦争体験、軍隊体験をされていますが、
ざんねんながら2013年に逝去されました。

軍隊体験はされていない方でも
たとえば、
終戦時点で10歳以上だった方ならば、
戦争中の風景や、戦後の記憶があるでしょうから、
戦争体験を語れる世代だといわれています。
(私の父は、ちょうどこの世代でした)

 

戦中・戦後を語ることができるこの世代の方は、
1935年(昭和10年)より前の生まれとなります。

最新の統計によると、
この世代の人口は2016年時点で900万人ほどですが、
この5年間でじつに430万人減少しています。

2011年には1330万人いらっしゃっていた
戦争を語れる人の3割以上が
この5年の間で他界されているということになります。

さらに、
2021年には戦争を語れる世代は86歳以上となり、
その人口はおよそ500万人ほどになる見込みです。

私は、
映像で家族をつなぐ自分史ムービーの制作に力をそそいできましたが、
戦争体験を映像でのこしていく取組みを始めたい
と思っています。

 

これから先、
日本が戦争にかかわることがないように、

子どもたちが安心して生きていける未来のために、
今、あなたの戦争体験をお話ししてくださいませんか。

もちろん、
戦争の体験を語って楽しい人はいないでしょう。

「今さら、つらい記憶を掘りおこしたくない」
「そっとしておいてほしい」
そう思っている方が多いことも理解しているつもりです。

私が同じ立場だったとしても、たぶんそう思います。

 

「わたしが語らなくても、ほかの誰かが話してくれるだろう」

そんな気持ちがわくのも、わかる気がします。

 

やなせさんは同じ著書のなかで、

戦争のことを思い出すのも、話すのも嫌だったので、
これまでほとんど戦争のことは語らず

にきたけれど、同世代に

戦争体験を語れる人がほとんどいなくなった

ことからご自身の体験を語ろうと決意されたそうです。

 

家族にさえ戦争のことを語ってない人は、
私が今まで自分史ムービーの制作でかかわった方々の中にも、
たくさんいらっしゃいました。

それでも、

今、あなたのお話しを聴かせてほしいと思っています。

戦争を体験した話には、替えのきかない力があるからです。

軍隊経験や戦地での体験でなくても結構です。

疎開先でのことや戦後の経験なども、
今後、ますます貴重なお話しになっていきます。

 

いかがでしょうか。

「戦争体験を伝える取り組みに関わってもいいかな」

と思ってくださる方は、
こちらから詳しい募集内容をご覧いただければと思います。

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